①ポンポコ島ものがたりその2

このポンポコ島ものがたりも 第一話・第二話・第三話・・・と進んできました。
いよいよ 物語の佳境に入っていきます。

余談ですが、タヌキの子どもが一度に生まれる数は平均3~5匹だそうです。
オス1:メス0.36の割合でオスの方が多く生まれるとのことです。
8日目くらいで目があき、20日ごろからは歯もはえてきます。1週間がすぎると
だんだん足腰がしっかりしてきて、よちよち歩くようになります。
おかあさんは、赤ちゃんをくわえて運びますが、その時おしりや胴を咥えるので、
あちこち 頭をぶつけてしまいますがぜ~んぜん気にしません。

タヌキのお父さんは理想的な父親像といえるでしょう。
まず、赤ちゃんが生まれるとすぐにかけつけ、一緒になめてあげます。
産後3日くらい外に出られない母親に、一生懸命ご飯をはこびます。
家族が中にいる時は巣の外で見張りをし、物音がすればすぐ家族の所へ
かけつけます。お母さんが食事に出ている時はおなじ格好で子どもを抱いて
あげます。離乳食を始めた子どもたちにえさを運んであげます。おかあさんは
産後の体力回復に精一杯なのです。
あかちゃんがうんこをしそうになると、お尻をなめてあげ、出たうんこは食べてしまいます。
(お食事中の方は読まないで下さい。)
幼児期をむかえた子どもたちの相手はお父さんなのです。
生まれて1ケ月もすると、体毛も変化し、そして3ケ月もすると親と同じくらいの体格になり、
9~11ケ月で親タヌキとなります。
すこしばかり余談が長くなりました。

お話はいったん今から3年ほど前にさかのぼります。
そうです ポコやコポが生まれた時までもどります。

では はじまりはじまり

ポンポコ島ものがたりその2出会いそして

【第一話】

{おぎゃ~おぎゃ~}本当にこんな風に泣いたのかどうかはわかりませんが、
ポコンポ山の統領に待望の二世が誕生しました。

「おおでかしたでかした。よくがんばったな」
「あなた、わたしうれしい。こんな可愛い子どもが、二人も生まれるなんて。」
「うんうん、とても元気そうな男の子じゃ。早速名前をつけねばならんの。」
「ええ、 ねえあなた この子達の名前私がつけてもいい?」
「うん? いいとも なにか良い名前があるのか?」
「ええ、私決めてたの。男の子だったら ポコ、コポ、女の子は生まれなかったから・・・、
でも もし生まれていたら ポポ」
「ポコ、コポか。 うん とても良い名前じゃ。よし!ポコとコポに決めたぞ。」
「あなた・・・」
「わっはっは 今日はとても気分が良い。 早速 若頭達に 誕生会の準備をさせねば。」
「でも あなた ポコとコポは今生まれたばかりよ。」

「ははははは 勿論誕生会は7日後じゃ。 で、それまでおまえは体を早く回復させるのじゃ。
おれが一杯食べ物を取ってきてやるからな。 早く元気になってくれんと、おれも寂しいからな。」
「あ あなた・・・。」
「おいおい 何を泣いておる? そもそもわれら タヌキの一族はもともとは かかあ殿下じゃ。
女のおまえがそんなふうではわれら一族の将来は不安ぞ。」
「まあ なんてことを・・・」
「ははは ゆるせ。本当に今日は気分が良い。 ああ 楽しみじゃ。早く誕生会にならぬかの。」


統領はとても良い気分でした。
1日がまたたく間に過ぎ、二日目となり、三日めとなりました。統領は妻のためにせっせと
食事を運びます。そしてポコとコポの世話をこまめにやっておりました。
その顔はほころんでいて、時折妻や若頭にもっと威厳をもつようにと言われるのですが、
その顔は変わりません。ポコ、コポはこうして幸せな日々を過ごしておりました。

つづく

【第二話】

「統領、大変です!南の方角からなにやら怪しげな雲がやってきます!」
「む!よし皆を集めよ!女・子どもは1つ場所に固まるのじゃ!」
「注意を怠るな!」「お前達は 洞穴の入り口を、お前たちは向こうがわじゃ!」
適確に次々と統領は指示を出していきました。
このときにはまだ誰もキツネ族が襲ってくるとは思ってもいませんでした。


やがてその黒い雲はポコンポ山を覆い尽くしました。 そして!
その黒雲の中から キツネ族の戦士たちが降りてきて、アッとおもう間もなく
統領たちを取り囲みました。
「お前たち、ここから黙って出て行け!今日からはこの山は俺たちが取り仕切る。」
「何だと! ここはもともとわれらのすみか、どうしてお前たちにわたさなくてはならん!」
「そんな 強がりを言ってると、皆殺しだぞ!」
「そんなことは 絶対にさせん!」
「まだ そんなことを言うのか。おい!やろうども こいつら全員やっつけろ!」

とうとう戦いが始まってしまいました。
統領はじめタヌキ族は勇敢に戦いましたが、何分準備不足の上、人数もいません。
じわじわと 攻め込まれていきました。
「このままではだめじゃ!たのむ ポコとコポを連れ出してくれ!」
「おやじさま!」
「せいいっぱいくい止めるから、その間に 頼んだぞ!」
統領は勇敢にもたった一人でキツネ族を相手に戦いました。
「3年後じゃ!このことは3年たったら話してやってくれ!」
統領はこういい残し、戦いの場を離す為 敵の大将めがけて走りこんでいきました。

つづく

【第三話】

それは 激しい戦いでした。

でも いかんせんあまりにも急なことでしたので、タヌキたちは戦いに敗れてしまいました。
統領とその妻はとらわれの身となって地下の牢に閉じ込められ、
その他の者たちはキツネたちの奴隷としてこき使われました。
ポコンポ山はもはや完全にキツネ族の山となってしまいました。キツネたちはさらに
自分たちの住処を増やすべくこのポンポコ島をのっとるべき手はずをしていましたが、
タヌキ族の風水師であるポポンが思い切って、ポコンポ山とコポンポ山の間に深い溝を
造ってしまったので、島全体は救われました。

「あなた・・・これからどうなるのでしょう?」
「うむ こうしてとらわれとなった今どうする事も出来ぬ。あとは ポコたちに託すのみじゃ。」
「でも 皆が奴隷となって働いているのを見ると、とてもつらくて・・・いっそのこと私たちを
殺してくれればよかったのに・・・」
「そこは キツネどものずるがしこいところじゃ。わしらを殺せば、絶対に他の者たちは
服従をしないだろう。わしらを生かせておく事によって、皆をうまく使いこなせるわけじゃ。」
「お前にも苦労をかけるの。わしの妻にさえならなかったら、お前はあのポンポコ山で楽しく
暮らせただろうに・・・」
「何を言うのあなた。私は好きであなたと一緒になったんです。共に苦労することなんか
何でもありません。ただ・・・別れてしまったポコとコポのことが気がかりで、いったい
今ごろどうしているのか、そればかりが心配で・・・」
「そうじゃのう わしもそのことが大変気になっている。
じゃが、わしの片腕に頼んだから、今ごろはきっと元気に暮らしていると思う。
統領としての修練や、戦士としての修行をきっちりやっていることじゃろう。」
「二人が ここにやってくるのをじっと待つ事にしよう。きっとやってくる!わしの子どもじゃ。
3年たったら必ずここに来るだろう。」

統領とその妻はこれからの長くてつらい毎日を互いになぐさめあいながら過ごしておりました

つづく

 

 

★★★本来はここからポン助と、ポコ・コポたちと同時進行で物語が展開するのですが、ここでは無理なので別々に行動することとします。〇4の1ポンス助のはなし〇4の2ポココポのはなしとします。★★★

【第四話】④の1ポンスケのはなし

ポン助がりんごに化けて乗り込んでいるとは知らず、キツネ達の黒雲は一路ポコンポ山へと向かっています。深い谷間を越え、いよいよポコンポ山が見えて来ました。

ポン助は内心ドキドキしていました。キツネたちを懲らしめてやろうと思いたって来たのはいいのですが、具体的な作戦があるわけではありません。

どうしたものか思案をしている間に とある大きな洞穴の前に着きました。キツネたちは、ただもくもくと荷物を運び込んでいます。やがてポン助を乗せた台座を運び始めました。何処へつれて行こうとするのか、ポン助は薄目をあけて見ていました。

洞穴の中はいくつもの部屋に別れていて、その一つ一つに番人が立っていました。
と!突然、叫んだものがいます。
「おい!あの娘はどこにいった?!」
ポン助はドキっとしました。地上について、つい気がゆるんでしまい、まんじゅうを娘に化かしていることを忘れてしまったからです。でも、キツネたちはそんな事は知りません。きっとどこかへ逃げてしまったものと思い込み、あちこちを探し始めました。

でも見つかるわけはありません。もともとそんな娘はいなかった訳ですから・・・・
「おい、ここにはいない。お前たちも一緒にさがせ!」
キツネたちは番人ともども、他の場所へと探しにでかけました。
ポン助の乗った台座はぽつんと部屋の前に置かれています。
あたりをそ~っと見ましたが、誰もいる気配はありません。
ポン助は元の姿に戻り大きな背伸びをしました。
「あ~あ、やっと自由になれたぞ、ちょこっと足腰が痛いけどまあ大丈夫じゃ。けんどこれはえらいことになっちゃったなあ。」
ポン助はまるで人事のように言いました。もともと、とても気楽な性格のポン助でしたので、今の自分のことなぞ、そう深刻には思っていません。
「よ~し、今の内にあたりを調べておこう!」

部屋には食べ物を集めた部屋、武器のおいてある部屋、何か人間の着物みたいなのが置いてある部屋、など一つ一つ別れていました。ポン助は部屋の食べ物は全部石に化しました。それから武器は全て使えなくしてしまいました。人間の着物みたいなものはすべて1つの大きな袋にしてしまいました。

そうやって部屋の一つ一つを使えなくしていきました。
最後の部屋についた時です。
部屋の中から声がしました。
ポン助はそ~っと中を覗き込みました。

 

 

【第四話】④の2ポココポのはなし

コポンポ山の迷宮を何とか通りぬけてきたポコとコポは、ついにポコンポ山へとたどり着いたのでした。

初めは二人ともぎこちなくしておりましたが、そこは兄弟です。すぐに仲良くなりました。{いっしょにおやじさまとおふくろ様を助けるんだ!}
その意気込みは次第に強くなってきました。

長い迷路を通り抜けうっすらとした光に誘われるようにして出たところはなんと ポコンポ山のどこかの洞穴でした。あたりを見回しながら進んでいくと、話し声や叫び声などが聞こえてきました。コポは仙人タヌキからもらった”ねむの木の枝”を使おうとしましたが、「コポ、まだ早い!もう少し後に使おう。」「うん その方がいいね。」

上の穴に続くのか、1つの通路がありました。二人はその通路に入り込みました。


通り抜けて出たところは1つの部屋でした。先ほどまで騒がしかったのに今は誰もいないようです。二人はここで今後のことを打ち合わせる事にしました。


「さて これからどうする?」
「まず 親父様とおふくろ様のいる場所をみつけるんだ。助け出してから次の行動に移ろう。」
「そうだね そうしよう。で、どっちへ行く?」
「この部屋はどうも一番離れたところみたいだ。順に探すしかないみたいだ。ここまで来たんだ。あと少し 頑張ろう!」
「うん ポコ 頑張ろうね。」

【第五話】

「君たちは どうしてここにいるんだい?」
 ぎょっ!
ポコとコポは急に話しかけられたのでびっくりしました。
振り向くと そこには 一人(1匹)の仲間がいるではありませんか。
でも どうして・・・ポコたちは不思議に思いました。

「君はだれだ?」
「おいらか おいらは ポン助と言うんだ。実はおいらは雲にのって
ポコポン山からやって来たんだ。で 君たちはどうしてここに?・・・」

ポコとコポは今までのいきさつをポン助に話しました。
「ふ~ん そういうことか。 よしわかった! おいらも一緒に探してやろう。」
「おいらも キツネ族を懲らしめる為にここに来たんだから。」

なんと たった一人でここまで来たのです。ポコとコポは このポン助の行動に
びっくりしました。
で、ポン助をみると、何としっぽが少し赤いではありませんか。
ポコはポン助に尋ねました。
「君の おじいさんの名前は? ひょっとして ポポン?」
「あれれ どうして知ってるんだ? そうだよ おじいちゃんは ポポンと言うよ。」


ポコとコポはお互いに目配せしました。{まちがいない ポン助は風水師だ}と
それならば!
ポコはポポンからあずかったあるものを 思い切ってポン助に投げつけました。
「何をするんだ!」
ポン助は驚きました・・・・・そして!「くしゅん ごほん !わ~~~これはなんだ。」
ポコはポン助になんと 唐辛子をつぶしていれてある袋を投げつけたのです。
でも これには 訳があるのです。

コポポン山でポポンから言われていました。「もしポン助が見つかったらこれを
投げつけよ」と、そうすれば ポン助は本当の風水師になれると・・・・
ポン助のシッポはあまりのくしゃみで 顔を真っ赤にした分だけ よけいに
赤くなってきたのです。
お陰で 風水のパワーがあがってきました。

ポコは事情を話しました。ようやくくしゃみがおさまって ポン助は涙を流しながら
「わかったよ それならしかたがないや。 でも くしゅん・・・」
ポコたちはポン助が少し可愛そうになりました。
「ごめんね 」
「いいよ いいよ 気にしないから・・」
「ポン助、これを預かってくれ。」
コポは ポポンから 預かった 薬草と ねむの木の枝を 渡しました。
「おお ねむの木の枝か こいつはすごいや これがあれば キツネ族なんか
一眠りだ。よ~~し 早速 でかけよう。 で どこに とらわれているんだい?
えっ! わからない それじゃ 風に聞いてみるよ。
お~い 風よ ポコとコポのおやじさまたちは どこにいる?」


<風>はこたえました。
「も1つ上の洞穴の中、一番奥の 魔王のそばさ」

<風>が教えてくれたとおり、1つ上の階はさらなる部屋になっていました。
真中の部屋は扉があっておいそれと入れそうにありません。
3人いえ3匹は右側の部屋へと入り込みました。
その部屋は 牢屋になっていました。
中は薄暗く、だれぞがいるのかどうかもわかりません。
ポコは小さな声で言いました。

「だれかいるかい?」
薄暗い中でなにやら動く気配がしました。
「だれ?」

「お前は誰じゃ?」
牢の中からとてもしわしわの声がしました。
「おいら ポコと言うんだ。おいらーーーー」
「なに! ポコ? 本当にポコか?」
「そうだよ ポコだよ コポも一緒だよ。」
「おお なんと! 待ったかいがあった。おい!お母さん ポコとコポじゃ。
いったとおりだろ。来てくれたんじゃ!。」
「で・では おやじさまとおふくろ様?」


「どんなにこの時を待ちわびた事か、おお やっぱり来てくれた。・・・」
「おい おかあさん。来てくれたぞ ポコとコポが おかあさん。」
「おふくろ様は どうしたんじゃ?」
「ちょっと 具合が悪くなってな。 おい!おきろ ポコだぞ!コポが来てくれたぞ!」

でも おふくろ様は いっこうに 起き上がってくる気配がありません。
「おふくろ!」
コポは 大きな声で 言いました。
「ポコ この薬を—」と言って ポン助が薬草を手渡しました。
「おやじ 早くこの薬草を おふくろ様に飲ませておくれ」
ポコは牢の格子の間から おやじさまに薬草を手渡しました。


薬草をのんだ おふくろ様はどうやら 気がついたみたいです。
ポコとコポはひとまずほっとしました。
「この牢の鍵は?」
「隣のへやのキツネ族の大将が持っておる。」
「よし!では取ってくる。」
「親父様 おふくろ様 いま少し 待ってておくれ すぐ助けてあげるから。」
「おお たのむぞ。」

ポコとコポそれに ポン助は この牢屋をあとにし 大将のいる 中央の部屋へと
向かったのでした。

つづく

 

【第六話】

そこでは 数人のキツネ達が 食事をしていました。
その周りには タヌキの子どもや女が座らされていました。

ポコやコポがいきなり入ってきたので、キツネたちは驚いています。

「な なんだ!お前たちは?」
大将と思われる傍の男がさっと身構えていいました。
大将は と見るとなんと シッポが赤いのです。{きっとこいつが風水を使うキツネに違いない}
ポコたちはそう思いました。
「おいらの 親父様とおふくろ様を助けにきた!」
「なに? するとお前はあのタヌキの子供か?」
「そうだ! やい よくも親父様達を苦しめてくれたな! さあ さっさとここを出て行け!」

「なに 出て行け? ふん 何を小ざかしい事を言ってるんだ。お前たちこそ出て行け!
さもないと お前らを残らず皆殺しにするぞ!」

キツネの大将はややよっぱらった足取りで立ち上がりました。

「いかん! 今ここで風水を使われては! ポコ・コポ、さあ 早く手を取り合うんだ!」
ポン助が慌てて言いましたので、ポコとコポはお互いの手を握り合いました。
ポン助はねむの木の枝を取り出し、頭の上あたりで グルグルとまわし始めました。

!すると いったいどうしたことでしょう。キツネ達は、いえ、周りの全ての者たちがグーグーと
いびきをかきながら眠ってしまいました。

ねむの木の枝のすばらしい力です。
「さあ 今のうちに 牢屋の鍵を探すんだ。」
「あった!」
「よし 早速親父様たちを助け出しにいこう!」
「まって!このままではいつ気が付くか知れない。どうする?」
「まず このキツネのシッポを切り取ろう。そうすれば 二度と風水の術は使えない。」
「よし!じゃあ、おいらが。」
コポはそう言ったかと思うと、スパっとキツネのシッポを切り取ってしまいました。
でも その大将はまったく気が付かず眠っています。
「これでもう大丈夫!でも このままでは・・・いっそ こいつらをすべて打ち殺して・・」
「コポ !だめだ!そんなことしちゃ! 」
「じゃあ 皆 奴隷にしよう」
「コポ それもだめだ!」
「兄さん!じゃあ いったいどうするんだ?!」

ポコは少し間をおいてから、ポン助に言いました。
「ポン助、この者たちを雲に乗せれるかい?」
「ああ できるとも。」
「それじゃあ この者たち全てを乗せて、ここからはるか南・・・・カッパ島のすぐ南に
誰も住んでない島がある。そこに降ろしてきてくれないか?」
「そんなことはお安いご用だ、でも そんなことでいいのか?親父様たちの敵をとらなくて
いいのか?」


「ああ いいとも こんな事繰り返していたら、いつまでたっても 真の平和は来ない。
もともと われらタヌキ族とキツネ族は同じイヌ族の仲間、いつまでもいがみ合って
いたところで、何の解決にもならないんだ。はじめ、おいらも いっそ皆殺しにでも
してやろうと思った。でも それは間違いだ! コポわかるだろ?
もう そんな時代は終わったんだ。
このまま なにもせず、気が付いたらまったく違うところにいた・・・・
最初は 驚くかも知れないが、キツネたちもきっと判ると思う。」

ポコは二人に語りつづけました。最初気が向かないそぶりをみせていたコポでしたが、
次第にポコの考えがわかってきました。
「兄さん わかったよ。そうだね このままでは、また同じことがおきるかもね。
よ~し、兄さんの言うとおりにしよう。ポン助はどう思う?」
「うん そのとおりと思うよ。よし!じゃあおいらがキツネたちを南の島に連れていって
くるよ。それまで待ってていてくれる?」

「ああ待ってるよ。」

ポン助は眠ったままのキツネ達を雲にのせ、それに先ほど石にしてしまった食べ物を
積み込んで、ポコンポ山を後にしました

つづく

【最終章その1】

雲がながれ、風がふき・・・・鳥は飛び交い、タヌキたちは楽しそうに走り回っています。
ポンポコ島には新しい時代がやってきました。
もう ポコンポ山とコポンポ山との境に深い断崖はなくなりました。
そう ポン助がそれを風水の術で取り払ったのです。

3年・・・、それは人間にとっては ほんのわずかな時ではありますが、
狸たちにとっては、とても長い3年でした。

でもポコやコポ、とりわけポン助の力でこのポンポコ島はもとの島に戻ったのです。

ポコンポ山での出来事以後、いったいどうなったのかお知りになりたいと思います。

実はポコとコポのおふくろ様・お母さんはポコ達を一目見た後、
悲しい事ですが、遠くタヌキ天国へと旅立ってしまったのです。

このことを詳しく書いて、読者の皆様に読んでいただくのが本当かとは思います。
私としては それを書くのが偲びがたく、こういう記述にさせていただきました。

動物でも人間でも同じこと、親子がはなればなれに、ましてやそれが永遠ともなれば、
その悲しさはひとしおです。

実のところ、つい先ごろ、私の家内の父親が永遠の眠りにつきました。
私にも本当の息子のようによく接してくれました。
お母さんはもう7年も前に遠くへと旅立っています。
私の実の父親も4年も前にやはり・・・・

この世に生きている限り、出会いと別れはついてまわります。
ですから、今!この今の出会いとふれあいを大切にして生きたいと思います。

いつか別れるその時ががくるまで・・・・・・・・

最終章その2へ

【最終章その2】

「親父様、どうしても ここに残るのかい?」
「ああ わしはもうそんなに長くない。ここにはわしの妻も眠っている。
生あるかぎり、わしはここに残り、守ってやりたい。」
「でも 親父様を置いてなんかいけないよ。」
「心配するな。わしの片腕が面倒をみてくれるといっている。何も心配するな。」
「でも・・・・」
「ポコよ 親孝行と思ってこのままにしてくれ。いまさら新しいところに行っても、
わしはかえって窮屈になってしまう。この思い出一杯の地で静かに過ごさせておくれ。」

「ポコ、親父様の好きにさせるがええ。」
ポン助が言いました。
「そうだね、お兄ちゃん そうさせてあげなよ。」
「コポ・・・、わかった。けど親父様、困った事があったらすぐ使いをおくれ。」
「ああ 約束するよ。」
「きっとだよ!」

こうしてポコ達は親父様を残しポコンポ山を後にしたのでした。
「さて これからどうする?」
コポが言いました。
「おいらははじめ思ってたとおり、ポンポコ山へいってくるよ。あそこは本当に人間たちと
仲がいいんだ。おいら そういうところで暮らしたいな。」
「そうか ポン助はポンポコ山へ行くのか・・・・・、コポ お前はどうするんだ?
おいらと一緒にこのポンポコ島を守っていってくれるかい?」
「いいや、おいらは おいらの道を行くさ。おいらには 弟や妹がポポコン山で待っている。
でも、兄さん おいら達は兄弟だ。例え離れていても絶対に忘れないよ。何かあったら
きっととんで来るから・・・・」
「そうだね コポ。兄弟だものね。」
「いいな 兄弟か——」
「ポン助、何を言うんだ。おいらたちは ポン助のことも兄弟だと思ってるよ な、 コポ。」
「そうさ 俺たちは 兄弟さ。こんなに気も合うんだものね。」
「うううう ありがとう。」
「ところで にいさん、これからは大変だぞ。なんせこのポンポコ島を取り仕切っていかなくては
ならないから・・・・」
「うん、でもこれは 親父様との約束じゃ。親父様は本当にこの島を愛してた。おいらも
その教えを守って、きっと すばらしい島にしてみせる!」
「ポコ お前だったらできるよ。遠く離れていても応援するからな。」
「うん ありがと。」
「みんな それぞれ離れていても、心は一つだぞ!」
「うん!」「もちろん!」


ポコとコポ、それにポン助はコンポポ山のてっぺんで互いに固い約束をしました。
ここが新しいポンポコ島の拠点になるのです。ポコはあたりをグルリと見渡しました。
ポコポン山、コポンポ山、ポンポコ山、コポポン山、ポポンコ山、ポポコン山、
そしてあの ポコンポ山とポンコポ山・・・・・・・
この 幾月かの間の出来事がうかんでは消えまた浮かびます。

さあ 新しい世界の始まりです!
ポンポコ島に幸いあれ!・・・・・・・・・・・・・・・

おしまい

ポンポコ島ものがたり いかがでしたでしょうか?
この 物語を書くにあたり、最初の構想とは
随分と 変わってしまいました。
でも それはそれ、
これで この物語を終わりとします。
ちょっと変わった発想でと思いつくりました。

 

ここで少し話を付け加えます。
ポンポコ山に行ったポン助ですが、
おりしも 祭りの日でした。
お地蔵様のある一本松の木の下で、皆楽しそうに
踊っておりました。
ポン助は松の木の枝の上で一緒になって踊りました。
(ポンポコ山のたぬきのまつりweb編をご覧下さい)
その後、その後の事は、皆様のご想像にお任せします。